A5病棟は、入院治療を必要とする精神障害の急性期と呼ばれる時期の治療を担当する病棟として想定されています。
急性期と呼ばれる急性病態には、さまざまなカテゴリーの精神障害(統合失調症圏、気分障害圏、精神活性物質による精神および行動の障害、器質性精神障害、パーソナリティ障害、知的障害、発達障害等々)が含まれます。
入院前後では、患者様に関する過去および現在の精神症状に限らず、家族や関係者からの多くの情報を集約することによって、より実体に近い精神障害の評価(診断)を得ることが重要となります。
この評価(診断)を元に、それぞれのカテゴリーに対して、より実効的で即効的な治療が急性期病棟には求められます。
多くの入院対象となることが想定される統合失調症圏と気分障害圏に対して現在考えていることを述べます。
統合失調症圏は、長年の経過を呈する精神障害で、発症後再発を繰り返し、従来の表現を使うと人格レベルの低下を最終的には引き起こすと言われております。その経過において特徴的ないくつかのステージ(病期)がありますが、自らの精神障害に対して病識が持てないことがこの障害の大きな特徴であります。
ところで、これまでの当院での入院治療の経験から、初発や最初の再発時の急性期における入院治療がその後の治療的経過を大きく左右することが知られております。それらの知見を元に、急性期の入院治療においては以下のことを目指したいと思います。
気分障害圏は、うつ状態で深刻な希死念慮を有するケースか、躁状態で行動の異常を呈するケースが当病棟への入院の適応となります。
当病棟での治療は、やはり出来るだけシンプルな薬物療法により、病状の安定(寛解)を早期に達成することにあります。
その後の治療については、A2のストレスケア病棟との連携の元にその後の治療的選択肢を見出したいと考えております。
気分障害に関しても、患者様ならびにご家族に対する精神障害の理解、治療の必要性の理解を得てもらうための心理教育が必要と考えております。
その他のカテゴリーの精神障害については、最初の精神障害の評価がその後の治療的選択しの決定に大きく影響すると考えられます。これらのカテゴリーについても多職種によるチーム医療で、情報を共有し、各職種の得意分野の経験に基づく提言を尊重しながら患者様に一番より方向を模索して行きたいと思います。
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